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2009-09-27

本物の女優・安蘭けい。

梅芸に、とうこちゃん(元宝塚星組トップスター、安蘭けい)のAIDAを観に行った。


退団公演の最中に撮ったというのが驚き。何でこんなにすんなり役になりきれるの~!

マイ初日でマイ楽(笑)。一回こっきりです。

とうこちゃんは、宝塚在団中に、宝塚版アイーダ、『王家に捧ぐ歌』のタイトルロールをしている。外部のお芝居ではどうなるのかな、と思っていたが、予想通り、何の違和感もなく素晴らしいアイーダだった。しかも今回は「女優・安蘭けい」としてのお披露目公演。本当に素晴らしかった。

とうこちゃんの舞台は、観ていると劇団四季に居た保坂知寿さんを思い出す。歌うような台詞に台詞のような歌。舞台を自在に彩る、素晴らしい役者だ。宝塚っぽさが抜けないという事も無く、この人は天性の演技者なのだな、と心底感心したし、感動した。

又、今回の舞台、私が楽しみにしていた人がもう一人居る。


ファラオ役で出演の、元劇団四季の看板俳優の一人、光枝明彦さん。通称おみつ。

おみつ
この人の歌唱力と演技力は日本演劇界の宝です。


四季は宝塚と違い、スターシステムを取っていないし、俳優ライブラリも公開していない。どんな大物であれ、入団も退団も、会員にすら公表はされないので、「そういえば最近あの人どの演目にも出てないな」と思っていたら辞めていた、という事が普通にある。おみつもその一人で、私はいつおみつが辞めたのか知らなかった。気付いたら居なかったわけで、そりゃショックでしたよ、ええ。だから、最近外部の舞台に出演しているおみつが、とうこちゃんと共演すると聞いて、本当に嬉しかったです!おみつ万歳!!


そうそう、おみつですが、四季時代、アニメ『ノートルダムの鐘』の吹き替えをしているんですよ。アニメの吹き替えと言っても侮る無かれ、これ、キャストが皆劇団四季という豪華版で、本当に台詞も歌も素晴らしい!! 主役のカジモドとエスメラルダは当時の大看板、石丸幹二さんと保坂知寿さん。吹き替えでこんだけクオリティ高いのは、後にも先にもこれだけでしょうね。機会があれば、是非。

ノートルダムの鐘。
ノートルダムの鐘
もう何度観た事か。聞き惚れます。

で、AIDAの感想。

演出は宝塚でおなじみのキムシンさん。

やはり予算上の制約もあるし、出演者の人数も宝塚の半分以下なので、色々と苦戦したのだろうなあ、というのは感じました。場面ごとに華やかなセットが替わる事もないし、群舞といってもせいぜい10数人。その割には工夫していたなと思います。でももう少し奥行きを使った動きが欲しかったかも。舞台前面が狭く感じたかな。

出演者に関しては、とんでもなく下手な人が居なかったので安心して観られたけれど、やはりラダメス役の伊礼君はもう手一杯という気がした。不安定な所はあるけれど歌えている方だし、ビジュアルも舞台向きで見栄えのする人なのだが、この役をするには幼く感じた。歌も芝居もMAXで頑張っているのだけど、実はそれが失敗なのよね。

一つのお話、舞台は、音楽と同じだ。

ピアノコンチェルトに例えれば判りやすいと思う。

オーケストラが居て、指揮者が居て、ピアニストが居る。

指揮者が演出家なら、ピアニストはお芝居で言う主役だ。そしてその後に、バイオリンやビオラやオーボエ、チェロなんて風に、各楽器がある。

ここで大切なのは、各楽器、各楽章のバランスだ。

ピアノコンチェルトだからといって、ピアノがずうっとフォルティシモでガンガンやっていたら、どうだろうか? そしてオーケストラが完全な脇役としてしか機能せず、ずうっと弱い音量で伴奏しているだけだとしたら、それはもはや協奏曲でもなんでもない、ただの雑音と一緒だ。

ここのピアノソロは切なく。ここは激しく。この楽章ではオーボエのソロが歌うように始めて、そこにバイオリンが加わってピアノはあくまでも優しく。ここはティンパニの聴かせどころ。

それぞれの楽器が、楽章ごとに、小節ごとに、自分の与えられている立場というものを完全に理解して表現する事で、美しいハーモニーが生まれ、美しい一つの曲が完成する。

舞台も同じだ。

自分の出番を全て目一杯全力で前に前にと頑張ってしまっては、一つの物語としての流れやバランスを崩してしまう。でも、この「芝居の流れの中での自分の立ち位置」というものを、頭ではわかっていても、きちんと演じきれる人は、意外と少ない。

伊礼君は頑張っていた。お芝居も歌も本当に頑張っていて、「結構出来る人」というレベルにまで持ってきていたし、とうこちゃんとの並びでも歴然とした差を「そう感じさせないように」頑張っていた。

だがいつもどの場面でもそのテンションなので、何か違うんだよな、と思わせてしまう。これはアムネリス役のANZAさんにも言える事で、ビジュアルにも恵まれ、舞台人としての力のある人なのに随分勿体無い事だ。

主役だから、主要キャストだからといって、いつも、どの場面でもMAXで存在する必要は無い。一つ一つの場面は、音楽で言う一小節一小節と同じなのだから、自分がどのタイミングで、どれだけの音量でどんな風に奏でればいいのか、常に周囲とのバランスを考えながら演じなければいけない。

その点、おみつは勿論の事、とうこちゃんは完璧だった。

常に場面場面の全体のバランスと言う物をキャッチして、完璧に演じきる。その上で、同じ場面に出ている伊礼君やANZAさんのバランスの不安定さをもカバーしてしまう。素晴らしすぎるとしか言いようが無い。だからファラオもアイーダも、強烈な存在感でありながら五月蝿くないし、場面だけでなく芝居全体のバランスを崩さない。それでいて、「この役者の芝居をもっと観てみたい」と思わせる。

だがとうこちゃんの場合、前にも書いたけど、この素晴らしすぎる舞台人としての資質が、「宝塚のトップスターになる条件」としては、マイナスに働いてしまった。

宝塚の場合、「端に居ると目立っちゃってしょうがなくて、真ん中に持って来るしかない人」ってのが居て、そういう人はもう、早くから抜擢されてトップへの道をまっしぐらに行く。現トップなら星組のちえちゃん(柚希礼音)や、下級生ならやはり星組の真風涼帆さんなんかがそうだ。長身の、素晴らしく見栄えするビジュアルに、どうしようもない中央オーラ(笑)、ベルばらのアンドレが絶対に似合わないし、上手く出来ない不器用さ(褒め言葉です)。何しても目立ってしまう、何しても同じ芝居(こら)逆に言えば支える芝居が全く出来ないって事で、こういう人はもう、センターに持ってくるしかない。

でもとうこちゃんは違った。



今回のAIDAの舞台では、女性の出演者の中ではとうこちゃんは他の人より頭半分位背が高いし、体格のいい伊礼君とのビジュアルバランスも良く、「やはり男役だった人はすらりとしてカッコいいな」と思わせるが、170cmを超える長身さんがわんさかいて、娘役でさえ165センチ近い人も大勢居る宝塚では、「安蘭けいは小柄だ」とずっと言われてきた。

公演評などでも必ずと言っていい程「小柄ながら健闘していた」とか「小柄だが素晴らしい演技力で」なんて書かれていて、150センチしか無い私は毎回、「とうこちゃんは大きいわよ。第一身長と演技力に何の関係があるのよっ!」 と、突っ込んでいた。

舞台の上ではどうしたって大柄な方が目立って衣装栄えもするし、娘役とのバランスもいい。皆が同じ衣装、同じ振り付けで踊る黒燕尾の群舞などになると、ちえちゃんみたいに長身で腰の位置の高い人は文句無くカッコいいし人目を引く。8頭身で当たり前。体の半分脚ですから、みたいな人が山ほど居る宝塚の中で、とうこちゃんのような体格の男役が、観客に際立った存在感を感じさせるというのは並大抵の事ではない。舞台上で、男役として目立つ為。娘役とのビジュアルバランスを取る為に、彼女は人知れず物凄い努力をしてきたと思う。衣装の着こなしやさりげない身のこなし、視線の配り方に至るまで、細心の注意を払い、勉強して来た筈だ。この人は「見せ方」の非常に上手い人で、それは才能もあるが、やはり努力の賜物でもあると思う。

それに、とうこちゃんは器用すぎた。

歌も芝居も変幻自在に操る事が出来、芝居全体の流れの中での自分の立ち位置というものを瞬時にして理解して表現出来る人なので、ここで自分は影になるべきだ、となればすっと影になり、ここでは光るべきだ、となれば、芝居全体のバランスを崩さない前提で、光を放つ。歴然としたスターシステムの宝塚では、こういう上手すぎる人は往々にして「支え役」に回されてしまう。(これは路線外の生徒が脇としてしか扱われないのとは全く違う)とうこちゃんが早くから路線として抜擢されながら、2番手としての時期が非常に長くなるという事態になってしまったのは、勿論劇団側の配慮が足らなかったせいなど色々な要因はあれど、彼女が上手すぎたのも、一つの原因だったかもな、とは思う。

宝塚の安蘭けいは、実力がありながらトップになるのに随分と時間がかかり、トップ就任後、僅か2年ほどで退団した。

でも女優安蘭けいは、もう小柄だと言われる事はないし、まだスタートしたばかりだ。

変幻自在に協奏曲を奏でる事の出来る彼女には、これからもっともっと素晴らしい舞台が用意されていくだろうし、彼女もそれに応えて行くだろう。

彼女は宝塚時代、もう辞めようと思った事が、何度もあるという。

もうトップにはなれないかもしれないと思った時、「もうトップには拘らず、これからは与えられた役を精一杯生きよう」と気持ちを切り替えたという。

宝塚では、路線外の生徒や、路線から外された生徒は当たり前のように辞めていく。下級生や同期に先を越されたり、予想外の組替えや番手の下がりを経験する事は、精神的にも随分と傷つく。踏ん張って辞めずに居た所で必ずトップになれるわけではなく、劇団側からの肩たたきも存在する。そんな中で、「雪組の御曹司」とまで言われていたとうこちゃんが想定外の組替えになり、同期のコムちゃんが雪トップになり、自分は星組で延々2番手で、時には新専科から上級生が降りてくるために3番手の役回りになってしまい、それでも尚辞めずにくさらずに、「与えられた役に生きる事に徹する」決心をしたというのは凄い事だ。本当に舞台が好きで好きで、そのために生きている人にしか出来ない決意だ。

舞台上のAIDAに向かって、私は「とうこちゃん、宝塚、トップになる前に辞めなくて良かったね」と心の中で呟いていた。

安蘭けいが2番手のまま退団していたら。退団後、外部の舞台で主役を演じる事は、ましてやAIDAを演じる事なんて、無かっただろう。

男役安蘭けいの血の滲むような努力と忍耐は、トップスター安蘭けいとしてだけでなく、女優安蘭けいとしての素晴らしい礎になった。

とうこちゃん、女優としてのスタート、本当に、おめでとう!!


そして。。

伊礼君のラダメスがちょっと物足りないなと思って、結果、わたる君(元宝塚星組トップスター、湖月わたる)は本当にスケールのでかい男役だったなあ、という事を再認識しちゃったりしたわけで(笑)。

長身の男役は沢山居るけれど、わたさんのあのスケールの大きさは、なんか、特別だわ。他に思い浮かばないもん。あんな人。包容力があって、スケールが大きくて、おんなじくらい音程も見事に外してぶっ放すんだけど(こら)でもそんなの全然いいのよっ! っていう。

上半身裸の、筋肉隆々の長身の伊礼君ラダメスと並んでも、多分、わたるラダメスの方が男らしいんだよね。

そんじょそこいらの女より、ニューハーフの方の方が、ずっと仕草がしとやかで美しいのと同じかな。とうこちゃんも、物凄くリアルな魅力のある男役だったしなー。

宝塚、恐るべし。



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